【ストレスを受けると太るメカニズム】
(ストレスを受けると体は甘い物を欲しくなる)
第3回~5回の勉強会でも説明しましたが、甘い物を食べると“やる気”が出たり、
ストレスを忘れさせてくれるのはなぜでしょう?
ついつい甘い物に依存してしまっている現代人が増えています。
実は、それには“幸せホルモン”呼ばれている「セロトニン」が深く関係しています。
またストレスを感じると、食行動に影響が現れる方は少なくありません。
ストレスが溜まって甘いものが食べたい、お酒が飲みたい、ドカ食いしたい・・など、
食べることによってストレスを解消した経験は誰にでもあるはずです。
ストレスが肥満の増大と同時に増大しているのは、ストレスに誘発されるドカ食いと、
ストレスによる脂肪蓄積です。
動物研究においても人間の研究においても、ストレスやネガティブ(否定的・消極的)な感情を抱くと、
たとえ空腹でなくても食べ物の摂取量が増えることが実証されています。
さらには、そうした時に口にする食品には糖分・脂肪分、
あるいはその両方が多く含まれがちであることも分かっています。
「ストレスホルモン」は、内臓脂肪をピンポイントで増やします。
ストレス・肥満・代謝性疾患の結びつきの起点にあるのは、
副腎(腎臓の上にある臓器)が出す「コルチゾール」ホルモンです。
コルチゾールはたぶん、あなたの体の中で最も重要なホルモンで、
コルチゾールが足りなくなったら死んでしまうからです。
他のホルモンは欠乏しても、体調がすぐれず、辛い生活を送ることにはなりますが、
命を失うようなことにはなりません。
しかし、コルチゾールが足りなくなったら、あらゆる種類の体のストレスに
対処できなくなってしまいます。
通常の場合コルチゾールは、ストレスがつのる状況(ライオンに追いかけられている時や「短期決戦」、
当然知っているべき事を知らなかったと上司に怒鳴られるような時)の時に、ピークに達します。
コルチゾールは、少量かつ急増期間が短いかぎり、必要不可欠なホルモンなのです。
しかし、大量のコルチゾールに長期間さらされると、ゆっくりではありますが最終的に命が奪われます。
プレッシャーに見舞われると、ストレス反応は何ヶ月も、時には何年も「オン」状態になり、
コルチゾールが血中に放出され血圧が上がり、血糖値が上昇し、心拍数も増えます。
また、コルチゾールは特に、なじみがあって食べると気分がよくなるスナックや菓子による
カロリー摂取を押し上げるので、内臓脂肪(特に脂肪肝など)がコルチゾールによって増やされます。(
体重は増やさない、筋肉も増やさない)
では、コルチゾールはどのように血中に放出されるか説明していきます。
人がストレスを感じると「へん桃体」という脳の部位が脅威と解釈して処理を始め、
へん桃体が系のスイッチをオンにします。
まず伝言ゲームのように、へん桃体が視床下部に送ったメッセージを、
視床下部から下垂体に、下垂体から副腎へと伝えられて、
コルチゾールが血中に放出され、標的細胞へ向かいます。
緊急時には、コルチゾールは視床下部にフィードバック(原因を自動的に調整する動作)されて、
それ以上の放出を止めるようにと伝えられ、コルチゾールの影響は短期的で限定的なものになります。
(ライオンから逃げることが出来た!ああ~ほっとした、さて昼寝しよう)
ところが、慢性ストレスにさらされると、コルチゾールの放出が野放し状態になります。
そして慢性ストレスの状態では、自らの放出を調整する為の負のフィードバック送らなくなるみたいです。
これは、今の科学・医学界に残る最大の謎の一つだそうです。
たぶんコルチゾールが過剰に供給されると、コルチゾール信号を察知する
へん桃体の能力が低下するらしいのです。
すなわちストレスは、より多くのコルチゾールを生み出し、
そのことがまた、より多くのストレスを生み出してしまうというわけです。
そしてコルチゾールは、先ほど言いましたが (高エネルギー密度の食べ物)
つまり脂肪と糖分のたっぷり詰まった食べ物を欲しがります。
内臓脂肪は、より速くエネルギーになるため、肝臓に直接結びついているので、
すぐに燃やすことが出来るのです。
余分なエネルギーを内臓に蓄えることは、ストレスが身体的なもの(ライオンからにげる)
であった時には、適応による結果だったのです。
ところがストレスが今日では、身体的なものではなくなったので、内臓脂肪は財産ではなく、
負債(借りたもの)になってしまったんですね。
今年の【心と体の勉強会】は今月で終わりです。
第8回の【心とからだの勉強会】は、新しいの平成31年1月30日。。開催の予定です。